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分譲マンション建替え2020年問題
2020年、オリンピック・パラリンピック開催にわく東京。この五輪フィーバーが終わった2020年以降の人口減少と高齢化でマンションの管理・修繕が行き届かず価格が暴落するとする「マンション2020年問題」。

 東京都住宅政策審議会が9月3日に出した「東京におけるマンション施策の新たな展開について(答申)」が発端である。この中で維持・管理や修繕が適切に行われず居住環境はもとより周辺にも悪影響を与える「管理不全マンション」が増えることが懸念されている。以前からマンション管理に無関心な区分所有者が多いことは指摘され、マンション管理が適切に実施されず、老朽化しても修繕もままならず、スラム化して資産価値がゼロの廃墟になる危険があるとされていた。

 区分所有者の多くは、修繕積立金を毎月ちゃんと払っているから、管理会社に任せているから、私のマンションは大丈夫だと大きな誤解をしており、修繕積立金が不足しているという知らせに驚くことになる。

 そして、適切なタイミングで修繕を実施しできず老朽化は急速に進行し、資産価値も落ちていく。

 今後、少子高齢化で人口が減り、地価は下がり続け、住宅は「空き家」が大きな問題となっていくことが予想されている。

 マンション建替えに取り組めるチャンスは、そう長くない。老朽化マンションの所有者においても生き残るためには、賃料が取れるように資産価値を上げたマンションへの建替えは急務である。

分譲マンションの老朽化を 放置するとおきる問題

 老朽化分譲マンションを放置すると起きるまず、第一の問題として、「大震災による倒壊の恐れという危険性が存在すること」です。

 これは、誰しもがわかることだと思います。

 我が国は、世界有数の地震国で、M6以上の地震の約20%が日本で発生していると言われています。まだ記憶に新しい阪神淡路大震災において、旧耐震基準と新耐震基準で建設された建物の被害状況について、阪神淡路大震災建築震災調査委員会が平成7年に中間報告として比較した資料があります。それは、神戸市中央区JR三宮駅付近の被害状況で、対象とした建物は、建築時期が特定された旧耐震基準の建物773棟と新耐震基準の建物150棟について比較したものです。

 これは、明らかに旧耐震基準の建物の方が新耐震基準の建物より被害が大きかったということを表しています。しかし、旧耐震基準の建物だからと云って必ずしも耐震性が低く倒壊の恐れがあるとも限らず、また新耐震基準だからと云って必ずしも倒壊の恐れがないということでもないことを同時に表していました。その建物の老朽化の進行状況であったり、構造形式や形状、ピロティの有無等によっても耐震性は大きく異なるのです。

 ですから、旧耐震基準で建設された老朽化分譲マンションは、耐震診断を実施して状況を知るということが大切なのです。

 

 次に、第二の問題として、「老朽化分譲マンションを維持管理していくための修繕費用が増加すること」です。老朽化分譲マンションを所有している方は、既に修繕費用の増加、つまり値上げを幾度か経験されている筈です。建物が新しい時は、修繕を必要とする部分が少なく、あまり修繕費用もかからなかったでしょうけど、10年を過ぎて、まず第1回目の大規模修繕を迎えます。そして、20年、30年と経過する頃には、外壁や屋根、給排水設備や電気機械設備等々の経年劣化等で様々な不具合が生じ修繕が必要となったことでしょう。このまま老朽化は留まることなく進行し続けますので、老朽化分譲マンションの維持管理は、更に増加の傾向を辿ることになります。その中で、経済的な理由等により修繕費の値上げに反対する者や修繕費の滞納をする者が発生したりした場合、実施が急務な修繕を先送りにせざるを得なくなると、維持管理の限界を迎えることになります。そのように適切な修繕が行われなくなり老朽化は更に速度を速めて進行することになります。

 そうなると、「賃貸住戸」や「空き家」が増加することになります。老朽化分譲マンションの多くは、投資目的の物件を除けば、新築当初においては、住居を目的として取得された住戸がほとんどです。しかし、老朽化が進むと所有者は他の場所に移転して賃貸住戸や誰も住んでいない空き家が増加するという傾向があります。

 こうして、管理組合を伴に運営する立場にある区分所有者が内部(住居として使用)と外部(賃貸や空き家)に分かれ、それぞれの視点や意識で老朽化分譲マンションを捉え、老朽化に関する情報や対策が共有できずに意見の対立を招くことも少なくありません。そして、やがて老朽化分譲マンションは、住むという状態を保てなくなりすべての住戸が空き家となります。これを「廃墟」と言います。

 

 次に、第三の問題として、「所有者の高齢化」があります。所有者の高齢化は、建物の老朽化と同時に進行します。30数年前の新築時には、元気な30歳代であったのに、気が付けば70歳に手が届く、ということになります。分譲マンションの老朽化問題を何とかしなくてはと思いつつ、身体の衰えに伴って気力も衰えてきます。また貯蓄と年金等の限られた収入源で生活設計を考えていく必要があるとなれば、分譲マンションの老朽化問題に拠出できる資金は、先細りとなることにもなるでしょう。また、老朽化分譲マンションは、いわゆるバリアフリー未対応のため専有部分(お部屋の中)や共用部分(エントランスや廊下等)の段差が存在し、それに起因する様々な問題も顕著に発生してきます。

 

 これら主な三つの大きな問題を抱えて、何とかなるなら未だしも、いつか必ず“最後”を迎えるその時は訪れることになるのです。それではその最後を迎えた老朽化分譲マンションは、どうなるのでしょうか? その答えは、「建替え」か「廃墟」のどちらかです。老朽化分譲マンションの区分所有者が今考え、行動しなくてはならないことは、耐震診断を受け、その結果が耐震不足であった場合は、すみやかに対策の検討をすることです。そして、その耐震対策の先には、いつか必ず建替えがやって来ることを理解し、大切な資金を有効に使う方法として「建替え」を選択し、近い将来かなりの確率でやって来るという“首都圏直下型地震”に備え、その際に近隣住民や接面する道路等に影響を及ぼさないようし、次世代に優良な資産として建替えた分譲マンションを引き継ぐこと、なのだと私たちは思います。

 

分譲マンションの寿命は、どのくらいか

 それでは、一般的にマンションがどのくらいの時期に建替えられているのかを見てみましょう。国土交通省が2002年にまとめたところでは、建替え工事をする建物の平均築年数は、37年となっていました。また、東京カンテイが2014年7月に発表した「マンション建替え寿命」では、全国の建替え事例198件の平均は33.4年となっています。しかし、建替えのために取り壊された建物のその時点の築年数を採用しているものと思われますので、その取り壊し理由は老朽化だけではないと思われますが、何れにせよ前述の30数年で建物が建替えられているというのは事実です。

 また、東京都においては、老朽化マンション対策が政策課題としてクローズアップされたのが2000年前後のことですが、その時の東京都の老朽化マンションの目安は「築30年」とされていました。

 さて、統計は参考までにして、本当のところの寿命はどの位なのでしょう。欧米の鉄筋コンクリート造の建物には、100年以上経過したものも多いのに、なぜ日本のマンションは、建築後30数年で建て替えなくてはならないのでしょうか。それは、日本では1970年以降主流となった圧送ポンプでのコンクリート打設での過量に水を混ぜる「シャブコン」が多かったことでコンクリート強度の著しい低下を招いていること、さらに塩害による鉄筋コンクリートの劣化などが指摘されています。コンクリート設計基準強度は、大規模修繕が65年くらい不要で供用限界期間が約100年とされているのが24N/m㎡以上です。1N/m㎡とは、約10kg/1m㎡のことで、1m㎡に約10kgの力が加わっても壊れない強度です。それに比べて従前のマンションは、充分な強度が確保されていないようです。

 また、内断熱、外断熱の影響の違いという話もあります。欧米では、1973年のオイルショック以降、コンクリート建築は全て外断熱になっているそうです。日本のコンクリート建築は、今も内断熱を続けているので結露トラブルの発生が多いと指摘されています。また、30、40年前に建築された分譲マンションと現代の分譲マンションでは、当然に技術の違いで寿命は違うでしょうし、立地や形状、階数、構造等でもそれは違うでしょう。配棟がL字型だったりT字型だったりすると建物が揺れたときにバランスを崩しやすく、またピロティー形状の分譲マンションは、1階に負荷が集中しやすいされています。

 その様な技術的な問題だけではなく、進化を続けてきた現代のライフスタイルと昔の専有部分の間取りが合わなくなってきたこと、マンション全体の設計の陳腐化、電気容量の小ささ、高齢者に対応したバリアフリー構造にはなっていないこと、オートロックやセキュリティ機能がついてないことなど、いわゆる現代仕様とは大きく異なってしまったというところにもその原因はあるのでしょう。

 ですから、「分譲マンションの寿命という話」は、統計による平均的な数値による参考であって、あなたの所有する分譲マンションが平均数値まで大丈夫ということではないのです。

 

ストップ・ ザ ・リノベーション

 物を大切にして、工夫をこらして再生し、長く利用する、それはとても素晴らしいことです。しかし、それが人の命に関わること、となると話は違くなってきます。昨今、流行のリノベーションマンションという販売手法。

 リノベーションとは、英語で革新とか修復といった意味があります。中古マンションを時代の変化にあわせて建物(専有部分)の性能を新築時の状態よりも向上させ、ひいては快適な暮らしを実現させて不動産の価値を高めようとすること、だと言います。

 ところが、リノベーションマンションの中には、マンション自体が築30年超、40年超と古く老朽化しているものもあり、専有部分つまりお部屋の中だけがピカピカの新築マンションだけど、マンション全体としては、どうなの?というものも少なくありません。確かに、リノベーションマンションの中には、なかなか出ない場所だったり、近隣の新築相場に比べて格安だったり、とても魅力的な物件もあります。

 しかし、築30年超、40年超の老朽化マンションというと、そのマンションの管理組合において「建て替え問題」の声が上がってくる頃なのです。ましてや、そのマンションが旧耐震基準で建築されているのならば、管理組合は耐震対策に対して声を上げなくてはならないのです。その最中、あるお部屋をどこかの不動産屋さんが買い取り、リノベーションという手法で販売が始まります。何故か、旧耐震基準の老朽化マンションでも耐震診断の結果が黒でないものについては取得のための融資が出るそうで、驚きです。つまり耐震診断をしていなければ、白・黒付かないので良いということになります。せめて、融資をする方は、旧耐震基準の老朽化マンションについては、耐震診断の白を確認していただきたいところです。管理組合は、建て替え問題。それに対して、そのマンション内でリノベーションマンションの販売が行われる、という相交わることのできないふたつの出来事が起こります。

そして、そのリノベーションマンションのために大きな借金をして、大きな夢を持って取得し、管理組合の一員となる人がやがて現れます。その人には、入居後に管理組合から建て替え問題が突き付けられ、管理組合は、その人が建て替えを検討するうえでの大きな障害となる、というどちらにとっても良い話にはならないことが起こります。 リノベーションマンションを取得しようという方、そして、建て替えを検討・推進・実行しようとする管理組合、双方ともにその点には充分に配慮しなくてはなりません。

 管理組合としては、「管理組合として耐震対策や建て替えを検討する」とした以降に、お部屋を売却する区分所有者(管理組合員)には、譲渡先に対して必ず「管理組合が耐震対策や建て替えの検討をしている」旨の事項を承継させるくらいのことを対策としてするべでしょう。リノベーションマンションの取得者が増えれば増えるほど、老朽化マンション建て替えの障害も増え、建て替え実現は遠のいてしまうのですから。

耐震偽装は問題だというのに 旧耐震基準の分譲マンションは、 なぜ放置されるのか

 前段をご覧いただいていれば、耐震診断の実施が如何に大切であるかお解りいただけたことと思います。そして、その耐震診断の結果を踏まえて対策を講じることが急務であるということも充分にご理解ください。

 さて、耐震がこれほど重要であるにも拘わらず耐震を偽装した事件がかつて発生したことがあります。それは、まだ記憶に新しいいわゆる「姉歯事件」です。2005年11月のことでした。国土交通省が千葉県にあった建築設計事務所の元一級建築士が地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたことを公表し、この耐震偽装事件が始まることになります。東京地方裁判所はその元建築士に懲役5年、罰金180万円の実刑判決を言い渡しました。テレビは、連日連夜に渡りニュースでこの事件の詳細を報道しました。耐震偽装により建築された分譲マンションが耐震基準を満たしていない(耐震不足)として、住民たちは、その分譲マンションから退去を強いられたのです。

 世の中が突然降って沸いたこの事件にとても混乱したことを覚えています。そのいわゆる「姉歯事件における耐震不足の分譲マンション」と「現行の耐震基準を満たしていない恐れのある旧耐震基準で建築された分譲マンション」と耐震不足による建物の危険性という点においては同じなのに、旧耐震基準で建築された分譲マンションに関しては、どうしてこんなに関心が薄いのでしょうか?。

 それは、法律に違反しているか否かの違いに外なりません。“法律に違反している”“違反していない”に拘わらず、旧耐震基準で建築された老朽化分譲マンションが居住者、近隣住民、近くを通る歩行者や車に危険を及ぼす恐れがあるという現実には、何も変わりはないのに…。

 

旧耐震基準の老朽化分譲マンション対策は、急務であると言えるでしょう。

 

マンション管理会社の使命感

 分譲マンションの建て替えが進まない要因のひとつとして、マンション管理会社の存在があります。もちろん、マンション管理会社の業務は大切な仕事で、なくてはならないものだと思います。しかし、マンション管理会社も当然にビジネスとして業務を行っていますので、その都合に合わせた意見を管理組合に対してアドバイスをすることになります。

 管理会社にとって一番都合が良いのは、大規模修繕を幾度も行い、長い間マンション管理を請け負い、いざ最後を迎えた時は、管理会社の親会社によって建て替えをして、建て替え後のマンション管理をまた請け負う、というのが理想形でしょう。

 大体の管理会社は、不動産会社や建築会社の傘下にあります。大規模修繕や建て替えを行うことに携われば、少なからずそのグループ内に利益が生まれるチャンスなのです。ですから、なんとしてもその仕事をグループ内ですべくと考えるのは自然といえば自然のことなのかもしれません。当然にマンション管理会社は、その道を進むためのアドバイスを管理組合にするということになる訳です。

 ある老朽化分譲マンションの区分所有者から建て替えを検討したいのだけど、相談に乗ってくれないか、と言われたときのことです。住民の間では、このマンションはいわゆる旧耐震基準で老朽化もかなり進んでいる、東日本大震災の時は大きく揺れてとても怖かった、また大きな地震が来ないとも限らないので建て替えも検討すべきなのではないか、との声も上がっている、ということでした。

 

相談者が理事長さんと親しくしているので、一度紹介だけでもさせてほしいということでしたので気軽な形式でお会いさせていただくことにしました。

 

そこで待ち受けていたのは、理事長さんとそれを取り囲むように管理会社の方々。理事長さんが建て替えの件で私たちが来るので、同席してくれと管理会社の担当者に連絡したそうです。

 

理事長さんも建て替えなどという大きな話なので当然不安です。誰か専門家(?)に頼りたくなる気持ちもわかります。長年お付き合いされてきた管理会社を信じて頼るのも当然といえば、当然であります。

 

しかし、前述のように管理会社にも都合というものがあります。ですから、私たちに対しては、「良いお話ですね。」とは決してなりません。

 

欧米では、100年を超える建物が・・・とか、耐震改修という方法が・・・とか、おっしゃってました。物を大切に長く利用するということは、とても大切なことです。しかし、ここは地震大国、日本です。老朽化は、ましてや旧耐震基準は、第三者を巻き込む事故を起こす恐れを含んでいるのです。そこまで来てしまっているから考えなくてはならないのです。

また、耐震改修も敷地に余裕がないと資材が専有部分を通ることになり難しい、場合によっては建て替えるほどの費用がかかることだってあります。

 

理事長さんは、ほとんどお話しされず、管理会社の担当者の方だけが一生懸命でした。もちろん、管理会社の担当者の方も会社の意図するところに従い使命感をもってお仕事をされている訳ですから何ら責められるものではありません。しかし、この先、老朽化分譲マンションの管理組合は、あらゆる方向で再生を模索していかなくてはならないでしょう。もしその使命感が入り口を塞ぎ、建て替え等の再生を妨げる要因のひとつになっているのならば、とても残念なことです。

 

耐震診断は、健康診断と同じ。手遅れになると取返しがつかないことになる。

2013年に東京都都市整備局が実施した「マンション実態調査」によれば、東京都内には、旧耐震基準で建てられたマンションが全体の分譲マンションのうち22.3%を占める1万1892棟あると言います。その調査によると旧耐震基準の分譲マンションにおいて耐震診断を実施したのは、17.1%、残りの82.9%は耐震診断さえ実施していないと言います。耐震診断とは、旧耐震基準で建築された建物を現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することです。

 

耐震診断は、まず予備調査により、建築物の概要や使用履歴、増改築、経年劣化、設計図書の有無等の内容を確認し、耐震診断のレベル判断をします。

調査結果から構造の耐震性の検討・評価を次の基準で行います。「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」の告示(平成18年度国土交通省告示 第184号と185号 )により震度6~7程度の規模の地震に対するIS値の評価が次の通り定められています。

 

◇ IS値が0.6以上          倒壊、又は崩壊する危険性が低い

 

◇ IS値が0.3以上 0.6未満         倒壊、又は崩壊する危険性がある

 

◇ IS値が0.3未満          倒壊、又は崩壊する危険性が高い

 

IS値とは構造耐震指標のことをいい、地震力に対する建物の強度、靱性(じんせい:変形能力、粘り強さ)を考慮し、建築物の階毎に算出します。

同実態調査により耐震診断を実施した分譲マンションの診断結果は、耐震指標となるis値で「0.6以上」が36.8%、「0.3以上0.6未満」が42.9%、「0.3未満」が20.3%だったそうです。つまり、倒壊や崩壊する危険性がある(0.3以上0.6未満)と診断されたのが40%強、倒壊や崩壊する危険性が高い(0.3未満)と診断されたものが20%、合計60%強が耐震性に問題があるということになります。この数値を参考に東京都内の旧耐震基準で建てられた分譲マンションの耐震性に問題があるという棟数を割り出すと、なんと7,000棟以上となるのです。

 

その一方で耐震診断をしていないという分譲マンションが沢山あります。その同実態調査によると、耐震診断をしていないという分譲マンションのうち、「今後実施予定」が11.7%、「理事会で検討中」が29.5%とあるものの、「検討していない」は58.9%で過半数にものぼります。

 

それでは、なぜ耐震性に問題があるかもしれないのに耐震診断を実施しないのでしょうか?

 

耐震診断を実施することに「反対」している人たちの意見が同実態調査で明かされています。「資産価値の低下があるため」69.5%、「改修工事費用がないため」65.9%、「費用負担ができないため」37.8%などだそうです。これは、ショッキングなデーターでした。

 

その調査結果を見ると、耐震診断を実施して耐震性に問題があるという結果が出てしまったら、多額の費用を出すのは無理だし、耐震改修工事を実施せずに放置した場合は、「要改修」マンションのレッテルが貼られ、売ったり貸したりする際に不利になるなど、資産価値に影響して困るので、それであれば耐震性を知らずにおいたほうがよい、という何とも身勝手な意識が鮮明に出たといえるだろうと思います。

 

もしも、あなたがあなたの所有している老朽化分譲マンションの状況を知らないのならば、直ちにそれを知るべきです。これは、人でいえば健康診断と同じです。悪いところがあればそれを見つけて、治療をしなくてはなりません。そのまま放置しておけば、状況はどんどん悪くなり、取り返しがつかなくなることもあります。

 

人の場合と違うのは、第三者を巻添えにすることがあることです。万が一の場合は倒壊し、近隣住民等にも被害を及ぼす危険性さえ持っているということなのです。

 

東京都は、特定緊急輸送道路沿いの一定要件に該当する建物に対して、耐震診断の実施を義務付けています。これは、東京都は、最悪の事態が発生した時に備えて、救援物資の輸送や人命救助のために車両等が通行できるように、何としても守ろうという主要道路を選定し、その道路を建物の倒壊等により塞ぐことの無いように耐震診断をして問題があれば是正してくれ、との思いからのことであると思います。

 

私のマンションは、特定緊急輸送道路に面していないから関係ない、と言われる方がいますが、あなたの所有する老朽化分譲マンションが特定緊急輸送道路沿いであろうとなかろうと、老朽化で危険の恐れがあるという点では、何も変わらないのです。あなたが所有する老朽化分譲マンションにも特定緊急輸送道路ではなくても必ず道路がある筈です。万が一の時には、誰かがその道路を利用して避難等をする訳で、そういう意味においては、何ら変わらないことなのです。

 

つまり、どこに老朽化分譲マンションが建っていようとその建物の危険性は変わらないということなのです。どこに建っていようと紛れもなくあなたが所有する老朽化分譲マンションなのですから。

 

近い将来、宅地建物取引業法において旧耐震基準で建築された分譲マンションおよびそれに準ずる老朽化分譲マンションについては、「耐震診断結果の表示」を売買する際には記載することを義務化し、耐震診断を行っていないものおよび倒壊する恐れのあるものについては、売買を制限するというくらいの措置が加わることを私たちは強く望み期待します。

 

また、ぜひ金融機関においてもその融資の制限として同様の措置を望みます。そうでないと、それを知らずに取得した新所有者は、倒壊する恐れがあると評価される恐れのあるものや建替え間近のものを知らずに購入する犠牲者となりますし、それが管理組合の対策の意向を大きく妨げることにもなりかねませんから。

 

耐震診断をして、その結果を踏まえて、一番良い対策をもって資産を活かす、それが旧耐震基準の分譲マンションを所有する方々にとって得策であり選択すべき道であると私たちは思います。

 

初めて明かされた老朽化分譲マンションの驚くべき棟数

 

東京都は、東日本大震災の被災経験を踏まえて策定した『東京緊急対策2011』(平成23年5月)において、今後のマンション耐震化施策の推進に向け実態を把握するために、都内の分譲マンション及び賃貸マンションを対象に実態調査を行いました。

 

本書は、分譲マンションに焦点を絞って考えるものですので、賃貸マンションは割愛させていただき分譲マンションについてだけお話をさせていただきます。

 

その調査によると都内には、分譲マンションが53,213棟も存在し、その1棟の平均戸数は、34.7戸と公表されています。つまり、1,846,491戸の区分所有物件が都内にはあるということになります。

 

注目すべきは、次の項目です。

 

東京都内にある分譲マンションの内、1981年(昭和56年)までに建築確認を受けて建築された、いわゆる旧耐震基準による分譲マンションが、11,892棟、412,652戸と公表されたことです。ちなみに旧耐震基準の分譲マンションが多い地区は、1位 世田谷区、2位 港区、3位 渋谷区 となっています。

 

道を歩いていたり、自動車で走っていたりすると「あの建物、大丈夫かな」と思うことが少なくありません。私は、職業柄もあり余計にそこに目が行くせいもあるのかもしれないですが、その様な建物が少なくないのは事実です。

 

さて、次のグラフを見てください。

 

 

これは、国土交通省 社会資本整備審議会第11回建築基準制度部会配布資料を基に作成したものです。将来に向けて老朽化分譲マンションがもの凄い勢いで増加して行くことが示されています。

 

今からわずか、2年後の2018年には、築30年超の分譲マンションが185万戸(約53,300棟)となります。その5年後の2023年には、264万戸(約76,080棟)となるとされています。

 

これがどの位の大きな数値かピンとこないことでしょう。具体的に言えば、今から7年後の2023年に築30年超の老朽化分譲マンションをゼロにしようとしたら、毎日約30棟の老朽化分譲マンションを建替えなくてはならないという驚くべき数値なのです。

 

私たちがそれを放置すれば、いずれあちらこちらで今より更に老朽化分譲マンションが目に付くようになり始め、また老朽化への対策を怠った分譲マンションにおいて頻繁に落下物等の問題が発生することが想像できます。

 

そうならないためにも、私たちは今、その対策を講じなくてはならないのです。さもないと、人も車も安心して道路さえ歩いたり走ったりできなくなってしまうかもしれません。

 

テキスト(4)

 

2016.06.10 12:03

 

ビルの外壁が歩道に落下、男性が頭に重傷

かつて、こんな事故がありました。大阪市浪速区の国道26号沿いにある雑居ビルから外壁の一部が落下し、人が下敷きになっていると110番があった。駆けつけた救急隊員が、頭から血を流して倒れていた大阪府東大阪市の会社員男性(62)を病院に搬送。男性は重傷を負った。

 

 

ずさんな管理体制、または老朽化を放置した結果が招いた事故と思われる一例です。

 

報道においては、事故のニュースということで、ビルの所有形態や管理体制などは書かれていないので、この事故の責任を誰が取るのかを追求してはいません。

 

しかし、事故にあった方はもちろんお気の毒ですが、ここで最も重要な事柄は、誰の罪なのか、ということなのです。

 

もしも、このビルが区分所有物件、いわゆる分譲マンションだったとしたら  『管理組合が責任を取らなければならない』 のです。

 

老朽化分譲マンションの管理組合およびその区分所有者が、そのことを充分に認識しているのか、はなはだ疑問であります。

 

具体的には、外壁は共用部分です。共用部分とは、区分所有者全員が共有持分比において所有している部分です。ですから、区分所有者全員が被害者に対して賠償責任を負うということになります。これは区分所有法という法律に規定されているものです。

 

区分所有者は、専有部分といわれるいわゆるお部屋の中だけに意識が行きがちでお部屋の外は、他人の物くらいに思っている人が少なくないようです。しかし、「私は、知らない。」と言う訳にはいかないのです。

 

こんな大きな事故につながるかもしれないというリスクを想定していない管理組合および区分所有者は、往々にして大規模修繕を面倒がって伸ばしにし、老朽化はどんどん進みます。 

 

共用部分の管理や修繕は、マンションの資産価値を維持・向上する目的だけでなく、第三者を巻き込んだ事故を防ぐという重大な目的があることに気が付いてください。管理組合が、区分所有者が、犯罪者になってしまうことだってあるのです。

 

ニュース(2)

 

2016.06.07 17:43

 

はじめに

東京都内には、旧耐震基準で建設された分譲マンションが溢れています。旧耐震基準の分譲マンションとは、耐震基準が今ほど厳しくなかった昭和56年以前に建設されたもので東京都内にもたくさん存在するとされる老朽化分譲マンションのことです。

 

国土交通省は、サンプル調査などからその50%~60%が震度7や6強の地震で倒壊したり、一部が潰れたりする恐れがあると見ているそうです。

 

近い将来に高い確率で来ると言われている首都圏直下型地震が発生した場合、国の想定では、首都圏で18万棟の建物が全壊して、最大で1万1千人が死亡するとされています。その内、老朽化分譲マンションも多数倒壊したり、中間の階が潰れたりして多くの犠牲者が出るであろうと考えられています。

 

国は、老朽化マンションの建替えを促進するためにマンションの建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替え円滑化法)を整備して老朽化分譲マンションの建替えの後押しに乗り出しています。

 

しかし、マンション建替え円滑化法を紐解くと一般の老朽化分譲マンションには当てはまらないということに気が付きます。マンション建替え円滑化法では、耐震性不足の認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和することとする、とありますので敷地が広い数百戸のいわゆる大規模マンションにはなるほど有効で容積率の緩和を受けて現在の規模より大きなマンションの建替えを可能にしています。 

 

ところが都内の老朽化分譲マンションの平均戸数は約34戸で当然に敷地は大きくなく、容積率制限の緩和の利用は儘なりません。私たち日本人、特に首都東京に暮らす者たちが本当に取り組まなくてはならないのは、マンション建替え円滑化法の恩恵を受けられない、いわゆる中小規模の老朽化分譲マンションなのであります。何と言っても都内の老朽化分譲マンションの大部分が中小規模なのですから。

 

しかし、大部分を占める中小規模でさえなかなか建替えが進まないのは何故なのでしょうか。

 

その原因の一つは、建替えることの本当の意味や建替える方法、そして、所有者の責任など、建替えに関する説明がしっかりとされていない、ちゃんと伝わっていない点にあるのではないかと私たちは考えています。

 

「建替え」というと“面倒くさい”とか“関わりたくない”とか、建替え自体に拒否反応を示す方が多いようです。もちろん「管理組合としての自主建替え」を実行しようとしたらそれは、それは大変だと思います。自主建替えは、それ相当に管理組合の能力も必要ですし、それを推進する一部の方々に大きな負担がのしかかります。長い時間もかかるでしょう。また、当然のこと大きな資金もかかりますので、特に高齢の方々には、その負担が難しいということもわかります。しかし、建替えの方法は、自主建替えだけではなく、他にもあるということを知ってください。

 

それでも“面倒くさい”とか“関わりたくない”とか、建替えの話を避けていても老朽化は日々進行します。それと同時に所有者の高齢化も進むのです。

 

老朽化分譲マンションの不安を抱えたまま維持管理をして行くにしても、それはそれで莫大な資金がかかります。その維持管理が手薄になったり滞ったりすれば、老朽化分譲マンションは、大地震が来なくても落下物等が発生するなど危険な事態を伴う恐れが生じます。

 

本書をお読みいただいている方には、「建替えに前向き」という方もいれば、「興味なし」という方もいらっしゃるでしょう。その皆さんにいろいろな事情があることはもちろん承知しております。しかし、本書をお読みいただくことで「興味なし」の方にも少しだけでも関心を持っていただければと私たちは願っています。

 

建替えを考えることは、決してそんなに嫌な話ばかりではありません。

 

私たちが過去に取り組んだ老朽化分譲マンションの建替えは、多くの高齢者が所有する老朽化分譲マンションでした。当初は「興味なし」の方がご多分に漏れず多数人いらっしゃいました。しかし、そのマンション管理組合は、「優先取得権方式という建替え方法を用いて建替えを実行する」ことの決議を行い全員賛成で可決されました。現在、その老朽化分譲マンションは、37年間の役目を終えて解体が完了し、新しい姿に生まれ変わるために既に工事を着工しています。

 

本書は、この老朽化分譲マンションの所有者が成し遂げたように、老朽化分譲マンションを所有する区分所有者の方がその区分所有者としての責任を全うし、日本の将来において危険と言われるような老朽化分譲マンションあるいはそれを放置した末の廃墟が立ち並ぶことが無いように行動を起こしていただきたいとの願いをもって制作したものです。なるべく簡単な言葉で解り易く表現させていただいたつもりですので、ぜひ最後までご一読いただきあなたの老朽化分譲マンションの取り扱いの参考にしていただければと思います。

 

そして、老朽化分譲マンションを所有されているあなたがその対処のために行動を起こすならば、少しでもその力になりたいと私たちは思っております。

 

 

 

昭和56年以前に建築されたマンションは危ない

  私たちの暮らす、そして、働く街、東京。この東京には、旧耐震基準と言われる耐震性が不足している恐れのある老朽化した分譲マンションが存在しています。

 

  旧耐震基準とは、現在の耐震基準に比べてその基準が緩かった昭和56年以前に建てられたもので、震度6以上の揺れに耐えられず倒壊する恐れがあるというものです。

 

  そのように危険なものですから、大きな地震が来た時に本当に大丈夫なのかどうかを確かめておく必要があります。万が一、このマンションが倒壊でもしたら近隣に住む人たちやたまたま近くを通る車や通行人などを巻き込む事故をおこしてしまうかもしれないのですから、

 

 それを確かめておくというのは、世の中の人たちに対する最低限のルールだと思います。

 

 それを確かめることを「耐震診断」といいます。

 

  耐震診断を既に行った分譲マンションの約8割が耐震性に不足があると言われていますので、それを前提として物事を考えるべきだと思います。

 

 

 

 

室長に聞く(その1)社会問題となっている 分譲マンションとは・・・・・

[聞き手]

 

四年程前の笹子トンネルの事故をきっかけに老朽化問題が取上げられるようになりました。 我が国が高度経済成長の波に乗り、創り上げてきた様々なものが老朽化を迎えています。その中で私たちの暮らしに直結すると言ってもよい住宅、特に分譲マンションが大きな社会問題になっていますが、具体的に何が問題なのでしょうか?

 

[室長]

 

分譲マンションを建てる時には、「耐震基準」というものを守らなくてはいけないことになっています。 耐震基準というのは、地震が来た時でもその揺れに耐えられるという基準を定めたものです。 その基準が一九八一年(昭和五十六年)に改正され、それ以降の分譲マンションは、震度六強から震度七程度の地震にも耐えられること、というのが基準で建てられていますから特に心配はありません。 しかし、問題なのは、改正前の耐震基準です。それは、震度五程度の地震に耐えられること、というが基準だったのです。 ですから、改正前の基準で建てられた分譲マンションに関しては、大きな地震が来た時に倒壊する恐れがあるということで、社会問題となっている訳です。

 

 [聞き手]

 

震度五、随分緩い基準ではないですか? 東日本大震災の時に、この東京は震度五強を経験していますよね。 そのくらいの震度は、最近けっこう地震速報のニュースで目にしますよね。

 

 [室長]

 

 特に最近は多いですね。東日本大震災の時の震度五強は、改正前の基準で建てられた分譲マンションにかなりのダメージを与えていると思いますよ。今度、同じくらいの規模の大地震に襲われたら、と思うととても怖いですね。 また、首都直下型大地震が三十年以内に七〇%の確率で来ると言われていますから本当に心配ですね。 この危険な分譲マンションのことを「旧耐震基準の分譲マンション」といいます。

 

[聞き手]

 

旧耐震基準の分譲マンションは、この東京に何棟くらいあるのですか?

 

 [室長]

 

 約一万一千八百棟あります。 今から三十五年位前に耐震基準が改正されていますので、築三十五年以上のものが旧耐震基準の分譲マンションということになります。ですから、三十五年ともなれば、老朽化もそれ相応に激しいのですよ。旧耐震基準の老朽化分譲マンションということになりますね。

 

 

室長に聞く(その2)所有者は、マンションを 所有するリスクを知るべきだ

[聞き手]

 

 旧耐震基準の老朽化分譲マンションには、どのような対策がとられているのですか? 放っておいたら危ないですよね。

 

 [室長]

 

 ええ、危ないですね。 ですから行政は、旧耐震基準のものに関しては、耐震診断(注ア)をするようにマンションの管理組合に呼びかけています。 特に特定緊急輸送道路(注イ)沿いのものは、義務として罰金まで設けています。

 

 [聞き手]

 

 耐震診断の結果、耐震性が不足していて危ないよ、ということになった場合は、どうすることになりますか?

 

[室長]

 

旧耐震基準は、緩かった基準なので、耐震診断を行ったマンションの約八〇%に耐震性不足の判定が出ています。そうしたマンションは、耐震補強(注ウ)をするか、建替えるか、の選択を迫られることになります。

 

 [聞き手]

 

 そうすると東京都内に、約九千棟以上の危ないマンションがあるということになるじゃないですか。 危なくて道も歩けないということになりますよね。 早く耐震補強か、建替えか、をしてもらわないと・・・・・。

 

[室長]

 

 そうですね。もちろんその中には、それを理解して耐震補強や建替えを検討しているマンションはありますよ。 しかし、まだまだそれが進んでいないのが現実なのです。だから、社会問題だということになる訳です。

 

 [聞き手]

 

 その危ないマンションの所有者の方たちは、ご自分のマンションがそういう危ないものだと知っているのですかね。

 

 [室長]

 

 私が思うには、残念ながら相当数の方々が認識していないように思えますね。 少なくとも特定緊急輸送道路沿いのマンション管理組合には、行政から通知が届けられているということなので、それについては認識されていると思います。 しかし、管理組合に通知したからと言って、必ずしもその代表である理事長さんがそれを充分に理解して、行動に移せているか、というとそれは疑問なところですが・・・・・。 また、厄介なことに、築三十五年以上を経過しているマンションでは、管理組合さえ存在しない、とか、所有者は、他に移り住んで第三者に賃貸している、とか、相続で受け継いでマンションのことさえあまり良くわからない、とか、そういう傾向が強いので、マンションの所有者にまとまりが無いのですね。 しかし、この点を論じても致し方ないので、地道な活動ですべての所有者に現実を知ってもらう必要があります。それには、行政の協力も期待したいところです。

 

 [聞き手]

 

 そういう意味では、所有者のリスクというものは大きいですよね。管理組合が無くても、賃貸していても、相続でも、所有者は所有者ですものね。 危ないマンションが原因で、事故でも起きれば、所有者責任ですよね。

 

[室長]

 

 もちろんそういうことになるでしょうね。 特に築三十五年以上も経過すると老朽化で、あちらこちらで修繕が必要になってきます。しかし、修繕費用の不足などでその修繕を先送りにしているケースも少なくないようです。 そうして起きた事故の責任は、「人災」ということになるでしょうね。

 

 [聞き手]

 

 でも、修繕費用は、所有者全員で毎月積み立てていると思いますが、不足になることがあるのですか?

 

[室長]

 

 そう思われている方が少なくないようですね。 それでは、修繕積立金に関してお話をしましょう。

 

(注ア)

 

旧耐震基準の建物が新耐震基準の建物と比べてどの程度の強度を持っているのか、構造設計を見直すこと。

 

 (注イ)

 

 大震災が発生した際、建築物の倒壊で緊急輸送道路が機能不全に陥らないよう、都は平成二十三年三月に「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」を制定しました。 この条例では緊急輸送道路のうち特に重要な道路を「特定緊急輸送道路」として指定し、その沿道建築物に耐震診断の実施を義務付けました。

 

(注ウ)

 

建物の弱いところ、強度が足らないところ、地震時に転倒(移動)しそうなところ等を補強すること。 

 

 

 

室長に聞く(その3)修繕費用を毎月 積み立てているのに、なぜ・・・・・。

[聞き手]

 

それでは、修繕積立金についてのお話しを聞かせてください。

 

 [室長]

 

 修繕積立金というのは、マンションを長期間維持・保全するために、将来の大規模修繕に備える積立金のことです。 修繕積立金は、区分所有者が共有持分に応じて負担し、管理組合が徴収して管理するというものです。

 

[聞き手]

 

 はい。それでも不足することがあるのですか?

 

 [室長]

 

 そもそも修繕積立金というのは、将来に修繕を行わなくてはいけない時に、たくさんのお金をまとめて払うのは大変だから、その足しにするために毎月みんなで貯金しておこうよ、というものなので、必ずしもその貯金で賄えるというものではありませんね。 

 

[聞き手]

 

 マンションを購入する時に、管理費月額○○円、修繕積立金○○円、とパンフレットなどに書かれていますよね。

 

[室長]

 

 はい。だから、多くの人は、この修繕積立金をちゃんと月々払っていけば、修繕は誰かがやってくれるものだくらいに思っています。 ところが、修繕しなくてはならないのは、自分たちの所有しているマンションではないですか、黙っていても誰も修繕などやってくれませんね。 修繕しなくてはならないところは、自分たちでお金を出して、業者に依頼して、修繕工事をしてもらうということになります。 その時に、貯金していたお金が足りなければ、更にみんなからその不足分を集めないと、業者は工事してくれませんよね。 そういうことなのです。 バンフレットに書かれている月額修繕積立金の額は、まぁこれくらいの金額ならば、月々にあまり影響がなく払えるよね、という金額に設定されています。 例えば、管理費と合わせて月額一万五千円とか、二万円とか、で。

 

[聞き手]

 

 けっこういい加減なものなのですね。 

 

[室長]

 

 まぁ、いい加減といえば、いい加減なのかもしれませんが、実際のところ将来において、どのくらいの修繕費が必要になるのかについては誰もわからなかったということでしょう。 二十年先、三十年先の修繕費を予想するのは、それは、それは難しいですよ。 どのくらい老朽化が進んで、どの箇所にどういった修繕が必要になるとか、またその時の経済状況においても修繕工事費の見積もりに影響があることでしょうし。 現に、ここ数年、建築工事費が高騰しています。何十年も前にこの建築工事費の高騰を誰が予想できたでしょうか、ということです。

 

[聞き手]

 

 確かに、古くなったマンションは、修繕費がとんでもなく高くなってきていると聞きますね。

 

 [室長]

 

 そうですよ。老朽化は日々止まることなく進行を続けますので、年々思いがけない修繕が発生することになります。中には緊急の修繕もあるでしょう。 しかし、資金面の都合から値上げに反対する所有者がでてきたり、修繕費を支払わない所有者がでてきたりするとその修繕を先送りにせざるを得なくなります。

 

[聞き手]

 

それは危険なことになりますね。 

 

[室長]

 

 旧耐震基準の問題と老朽化の問題を併せ持っているのが、社会問題となっている旧耐震基準の老朽化分譲マンションなのです。

 

 [聞き手]

 

 そうなると所有者は、お金をかけて危ないものを持っているということになりますよね。すべての所有者の方々にこの事実を何としても伝えないといけないですね。

 

 [室長] そうです。ですから私たちは、この活動を続けているのです。

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