東 京 強 靭 化 計 画
TOKYO RESILIENCE
~ 誰かのために、あなたのために、私たちの暮らす街 東京を強くする ~
今から三十数年前、誰がこんなことを想定できたでしょうか。
まさか、耐震性が不足している恐れがあり、大きな地震が来たときに、その地震に耐えられない恐れのある分譲マンションが東京都内にこんなに溢れてしまうほどになるなんて。
大きな地震が来てもそれに耐え得る建物を造ろう。そのために制定された基準、それが「耐震基準」です。この基準をクリアしていれば、万が一にも大きな地震が来てもそう大事になることはない、誰しもそう思っていたことと思います。
しかし、自然の猛威は私たちの想定を超えていくことになります。
1968年(昭和43年)5月16日、十勝沖地震が発生します。その十勝沖地震の被害を踏まえて、1971年(昭和46年)6月17日に建築基準法施行令の改正を行い、鉄筋コンクリート造の帯筋の基準を強化することとなりました。
その改正から約7年後の1978年(昭和53年)6月12日、宮城県沖地震が発生します。私たちは、その経験から学び、1981年(昭和56年)6月1日、建築基準法施行令の改正を行うこととなり、一次設計、二次設計の概念が導入されることとなります。これが現在の耐震基準で「新耐震基準」と呼ばれているものです。
この改正以降の基準で建築された分譲マンションを「新耐震基準の分譲マンション」といい、現段階においては、大きな地震が来ても耐え得るマンションであるということになります。それに対して、この改正以前の基準で建築された分譲マンションを「旧耐震基準の分譲マンション」といい、現段階においての耐震基準、つまり新耐震基準からすると耐震性に不足がある恐れがあり、大きな地震が来た場合、それに耐えられない恐れがあるということになります。
私たちが懸念していること、まさにこの旧耐震基準の分譲マンションが東京に溢れているということなのです。
新耐震基準への改正から今年(2020年・令和2年)で40年が経ちます。私たちは、その間更に大きな経験を重ねることになります。1995年(平成7年)1月17日、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生します。それを踏まえて、2000年(平成12年)6月1日、建築基準法及び同施行令が改正されることとなり、性能規定の概念が導入され、構造計算法として従来の許容応力度等計算に加え、限界耐力計算法が認められることとなります。
次いで、2011年3月11日、まだ記憶に新しい東日本大震災が発生します。この大震災は、私たちが暮らすこの街、東京を大きく揺らしました。新宿新都心の超高層ビルが頭を大きく揺らし、今にも倒れてしまうのではないかとさえ思えたあの光景に、恐怖を感じたのは私だけではないでしょう。当然のことながら旧耐震基準の分譲マンションに至っては、その耐震不足の恐れからそれ相応のダメージを受けていることは、紛れもない事実であると思います。
更に、2016年4月14日、熊本地震が発生しました。このように自然の驚異は、私たちの極近くにあるのです。近い将来、高い確率で私たちの暮らす街、東京を襲うとされている首都圏直下型地震に備えて、私たちは、建物の耐震性を強化しなければなりません。また、当然のことながら、旧耐震基準の分譲マンションは、少なくとも本年で築40年以上を経過しており、老朽化を伴っております。耐震不足の危険性も然ることながら、老朽化もまた大きな問題です。たとえば、分譲マンションの前面道路を行き交う自動車や通行人、彼らは、分譲マンションとは全く無関係の第三者です。もしも、彼らに老朽化により劣化した外壁が落下し直撃したら第三者を巻き込んだ大きな事故を引き起こすこととなります。実際にこのような事故が起きているのです。今後、老朽化マンションの増加に伴いこのような事故が頻繁に起こることが予想されます。このように旧耐震基準の老朽化分譲マンションは、地震が来ても来なくても危険と隣りあわせということなのです。
では、このような旧耐震基準の老朽化分譲マンションをどうすれば良いのか?
私たちは、迷わず「建替え」をお勧めします。なぜならば、耐震性を高めるための耐震改修も大規模修繕もマンションの単なる延命措置(問題の先送り)に過ぎないからです。私たちは、私たちの暮らすこの街、東京から少しでも「旧耐震基準の老朽化分譲マンション」を減らすことで、東京の日常また被災することがあったときに、事前に危険の芽を摘み採ることで大きな事態に繋がらないようにするという強靱化計画を推進します。
私たちのこの街に老朽化の果ての廃墟が建ち並ぶことがないように、そして、子供たちがヘルメットを被ることなく、空から落ちてくる外壁を気にすることなく遊べるように。
私たちの国、日本は、このようにマンション建替えという問題に今はじめて直面しています。
日本高度成長期に乗って、今まで建てろ、建てろが先行し、建てたものを壊してまた建てる、つまり建替えるときが来ることなど考えていなかったのではないでしょうか。当然そのマンションの所有者も同様で経験したことのないことに直面しているのです。
所有者は、言わば不動産に関しては素人です。 耐震基準 / 所有権 / 共有持分 / 専有部分 / 建替決議、などの難しい言葉を並べられてもよくわからないのも仕方のないことです。ましてや、マンションの老朽化と伴に所有者も高齢化が進行し、お年寄りが増えていますので全ての所有者が理解して議論を進めるのは難儀なことと思います。そのストレスから揉め事も起こるのは容易に想像がつきます。建替え合意に至った管理組合が、十数年の時間がかかったと言うのも確かに理解ができるところです。
そこで、私たちはこう考えました。
もっとシンプルに建替えを行うことができないのか、と。
私たちは、従来の建物の建替えの概念を壊し、古い建物(建替えるべき建物)と新しい建物(建替えるべき建物を解体して新たに建てる建物)の関係を切り離して考えることとしました。旧耐震基準の老朽化分譲マンションの所有者は、三十数年前にこのマンションの購入を検討したときにタイムスリップして、改めて新しい建物のパンフレットを開き、購入を検討していただきます。
古い建物と新しい建物の関係を「優先取得権」で結ぶ、これが優先取得権方式による建替えです。
東京強靱化計画 ----- 私たちは、優先取得権方式 ( 特許申請済 ) を用いて旧耐震基準の老朽化分譲マンションの建替えを推進し、私たちの暮らす街、東京を強くします。